「リウマチ治療と妊娠Q&A」常陽リビング12月号

Q 関節リウマチで治療中です。妊娠を希望しているためリウマチの薬は飲まないようにしています。リウマチの具合は良くならず、妊娠も思うようにいかず、困っています。

尾登院長A 関節リウマチに限らず様々な病気の抱えながら妊娠を考える事は、とても不安でしょう。リウマチを上手くコントロール出来ていないと妊娠しにくいことが知られ、炎症は流早産の原因の一つとなります。リウマチで活性化するTNFαは流産の原因となることから、着床不全にリウマチ治療薬の抗TNFα抗体が用いられることもあります。

ご心配のように妊娠中に使用が禁止されている薬剤は様々あり、特にメトトレキサートは絶対禁忌の薬剤です。しかし、サラゾスルファピリジンは使用可能ですし、高率に寛解をもたらし関節破壊を抑制する抗TNF抗体製剤などの生物学的製剤は妊娠まで使用可能であり、なかでもエタネルセプトとセルトリズマブペゴルは胎盤移行が少ないため、妊娠中も使用され無事出産された患者さんも当院におられます。まずはリウマチの専門医に妊娠希望であることを伝えてみてください。

妊娠を考えてご自身の健康と向き合う事をプレコンセプションケアと言います。プレコンセプションケアについて、更には出産後の事、授乳、子育ての事を相談できる人が身近にいると良いですね。

当院ではリウマチ財団登録リウマチケア看護師やリウマチ財団登録薬剤師がプレコンセプションケアのお手伝いをいたします。「妊娠と薬情報センター」をご紹介することもあります。当院にはリウマチを抱えながら妊娠、出産、授乳、育児を経験された患者さんがおられます。そうした先輩方に相談にのってもらうのも良いかもしれませんね。