「リウマチ治療と帯状疱疹予防Q&A」常陽リビング3月号

Q 関節リウマチが発症して10年の60代の男性です。JAK阻害剤で治療を受けています。友人が帯状疱疹にかかりました。予防はできませんでしょうか。

尾登院長A 日本人リウマチ患者さんは一般人口の約1.7倍、帯状疱疹にかかりやすいと言われています。JAK阻害剤は、関節リウマチの炎症に関わるサイトカインのシグナル伝達分子であるヤヌスキナーゼを抑制することで、生物学的製剤に匹敵する効果を発揮します。内服薬でありながら、関節破壊抑制効果など非常に有効な薬剤ではありますが、帯状疱疹リスクは5倍とも言われています。帯状疱疹はみずぼうそうと同じヘルペスウイルスが原因ですので、水痘ワクチンで予防ができますが、従来の水痘ワクチンは弱毒生ワクチンですので、ステロイドや免疫抑制剤、生物学的製剤、JAK阻害剤などを使用している関節リウマチの患者さんには使用できませんでした。しかし、生ワクチンではない、帯状疱疹に対するリコンビナントワクチンが開発され、本年から五十歳以上の方に使用が可能となりました。2ヶ月間隔で2回筋肉注射します。臨床試験での発症予防効果は非常に高く、反面リスクは少ないため期待されています。詳しくはリウマチ財団登録薬剤師やリウマチ財団登録看護師に聞いてみてください。より良いリウマチ治療のためには合併症の予防対策も大切と考えています。