「リウマチと新型コロナ感染Q&A」常陽リビング4月号

Q 40代の女性です。トシリズマブで関節リウマチの治療を受けていますが、新型コロナウイルス感染症が心配です。リウマチの治療薬は中止したほうが良いでしょうか。

尾登院長A 日本リウマチ学会の見解に基づいてお答えいたします。情報は日々更新されており、最新公式見解を参考にしてください。新型コロナウイルス感染症の重症化リスクにあげられているのは、高齢、糖尿病、高血圧症等であり、リウマチとその治療薬に関する報告はありません。免疫抑制剤や生物学的製剤が感染リスクをあげるというエビデンスもありません。治療薬の減量や中止によりリウマチの再燃増悪の恐れがあること、炎症性サイトカインや免疫が新型コロナウイルス感染症の重症化に関係している可能性から、原則、同量でのリウマチ治療継続が推奨されます。
新型コロナウイルス感染症の重症化の一因は,ウイルスと戦う免疫が暴走することにより、高度の炎症を引き起こすサイトカインストームであると言われています。インターロイキン6阻害剤であるトシリズマブはこのサイトカインストームを抑制することから、現在、臨床治験が行われており、重症例の改善報告もあるようです。
リウマチ患者さんは、コロナ騒動以前から感染予防のための手洗いやマスク、人混みを避けるという注意点を幾度も繰り返し指導されてきていると思いますので、他の方よりも感染予防は得意な分野ではないかと思います。節制し、適切に運動・休養し、朗らかな気持ちを持って、ストレスに打ち勝つ「生きる力」を養い、この困難な状況を皆で乗り越えていきましょう。