「リウマチと骨粗鬆症と歯周病Q&A」常陽リビング11月号
Q 関節リウマチと骨粗しょう症で治療中です。歯周病があり、抜歯をすすめられています。注意点などはありますか。
尾登院長A 歯周病原因菌のPジンジバリスが抗CCP抗体産生を通じて、関節リウマチの発症に関係があるという研究があります。関節リウマチでは、唾液分泌の低下により口が乾きやすくなるシェーグレン症候群の合併を起こしたり、手の痛みで歯磨きがうまく行えないなど、歯周病になりやすい環境下にあります。また、リウマチを進行させるサイトカインや治療で使われるステロイド剤が骨粗しょう症を引き起こすことにより、多くのリウマチ患者さんは骨粗しょう症を合併しています。骨粗しょう症で使われるビスフォスフォネート製剤やデノスマブなどの骨吸収抑制剤は、抜歯後に顎骨壊死を引き起こすリスクがあるため、なるべく抜歯に至らないようにする必要があります。歯周病の予防が最も大切ですが、抜歯が必要となった場合には事前の十分な口腔内清掃と適切な抗生剤の直前投与が重要です。歯周病治療には、抜歯以外にフラップ手術や罹患歯への負荷を軽減する方法、再生医療などもありますので、日本歯周病学会認定医などにセカンドオピニオンを受けてみるのも良いでしょう。
なお、骨粗しょう症の治療は薬剤だけではなく、マグネシウムなどの食事と運動療法も必要です。リウマチの口腔ケアと骨粗しょう症対策については、リウマチ財団登録リウマチケア看護師に相談してみてください。