「リウマチと楽器演奏Q&A」常陽リビング4月号

Q 30代の女性です。メトトレキサートで関節リウマチを治療中ですが、ピアノを弾くと肘の痛みが出てしまいます。楽器の演奏は諦めた方がよいでしょうか。

尾登院長A肘の痛みの原因が、①リウマチ全体のコントロールが悪い。②進行して肘関節がすでにダメージを受けている。③肘についている腱の付着部の炎症が原因。と分けて考える必要があります。

①リウマチのコントロールが良くない場合には生物学的製剤やJAK阻害剤などの有効性が高い薬剤の使用を考慮すべきです。②レントゲン写真で肘関節の破壊がある場合には人工肘関節置換術などを行うこともあります。関節注射が比較的有効です。③手や指を動かす腱の付着部の炎症の場合には、腱付着部へのステロイド注射や装具、前腕の筋膜リリースで治療します。いずれの場合もリハビリテーションが大変重要となります。

楽器の演奏を前提としたリハビリテーションにおいて大切なのは腕の筋力の強化ではなく、からだの使い方の再学習です。当院では、アレクサンダーテクニークの考え方を取り入れ、良い姿勢をつくり、手や指だけでなく、からだの中心からからだ全体を使って、シンプルに無理なく動き、楽器をからだの一部のように自由に操れるようになることを目指します。楽器を手で弾くのではなく、からだ全体を使って心を込めて楽しく弾くイメージです。肩甲骨が胸郭に癒着して腕をしなやかに使う事ができない方が多いようです。私は痛みのある局所にだけに目をむけるのではなく、からだ全体を診ることを心がけています。活力に満ち、困難を乗り越える力を養い、楽器等の趣味や仕事に取り組み、「より良い人生・アクティブライフ」を送っていただくことが治療の目標です。