「リウマチ治療と運動Q&A」常陽リビング9月号

Q 関節リウマチと診断され、メトトレキサートを内服して治療中です。進行を防ぐためには、安静にしていた方が良いですか。

尾登院長A現在の関節リウマチの治療においては、メトトレキサートの他に生物学的製剤、JAK阻害剤などの有効性が高い薬剤があることから、安静よりも身体機能を改善するために積極的に体を動かすことをお勧めしています。ヨーロッパリウマチ学会で本年に発表された「ライフスタイル推奨」でも筋力強化と有酸素運動を共に行うべきであること、運動を開始するのに遅すぎることは無いということが示されています。最近の研究のほとんどが運動によって炎症が悪化するデメリットよりも、体力増強や内臓脂肪の減少、動脈硬化や脂肪肝の抑制のメリットを強調しているようです。筋トレ、特に下半身の運動では、マイオカインという物質が作られることがわかり、骨量増加、認知症予防、うつ病の改善も期待されています。

リウマチの治療においてリハビリテーションは大変重要ですが、リハビリテーション=運動ではありません。ましてマッサージや温熱療法等の物理療法は単なる補助手段に過ぎず、適切な体の使い方を覚えたり、道具を工夫する、環境を整える、新しいことに取り組むための勇気や自信を取り戻すための心のリハビリもあります。

リウマチ治療が目指すところは、活力に満ち、困難を乗り越える力を養い「より良い人生・アクティブライフ」を送っていただくこと。運動はその基礎体力を養うために重要であると考えています。