「リウマチ薬物の有害事象2Q&A」常陽リビング7月号

Q 関節リウマチに対してメトトレキサートで治療を受けていますが、最近、時々発熱があります。
尾登院長A メトトレキサートは「アンカードラッグ」と呼ばれるリウマチ治療の基幹薬で、有効性が高く、世界で最も多く使われている抗リウマチ薬です。しかし、白血球減少や肝機能障害、間質性肺炎等の有害事象の発生に十分に注意を払う必要があります。発熱の原因としては、①関節リウマチのコントロールが付いていない②何らかの感染症③薬剤性の肺炎④メトトレキサート関連リンパ増多症やリンパ腫などが考えられます。熱の上がり下がりが1日の内でどのように変動するかを記載して主治医に診てもらうと良いと思います。三八度台の発熱の場合には、メトトレキサートを中止して速やかに血液検査や画像診断で原因を追及します。間質性肺炎では血液検査でKL―6を、ニューモシスチス肺炎ではβ―Dグルカンを、リンパ増多症の場合には可溶性インターロイキン2受容体の増加等を調べます。体調不良時に内服すると重篤な副作用につながりやすい為、内服するか迷った場合には、まずは休薬して専門医やリウマチケア看護師、リウマチ専門の薬剤師にご相談下さい。軽い感冒と考えていたら重篤な合併症であることもあります。発熱の他に咳嗽、口内炎、易疲労感、しこりの多発、下痢などの消化器症状の場合にも相談されたほうが良いでしょう。
メトトレキサートなどの抗リウマチ薬の選択や導入、副作用予防にはコツがあり、リウマチ治療経験豊富な医師の元での使用をお勧めします。