「リウマチと山登りQ&A」常陽リビング5月号

Q 60代の男性で関節リウマチと診断されました。趣味の登山は諦めた方がよいでしょうか。

尾登院長A  関節リウマチの治療は近年劇的に進歩しています。従来は痛みを少しでも減らす事が目標でしたが、生物学的製剤やJAK阻害剤などの有効性が高い薬剤の登場により、今では寛解、即ち薬剤で完全に疾患をコントロールし、痛みや腫れが無いだけでなく関節破壊が起こらない、日常生活に障害が起こらないようにすることが今のリウマチの治療目標です。更に当院では、仕事や趣味等が問題無く遂行でき、患者さんひとりひとりの人生のテーマが実現できるようにする事を目標に、多職種連携で治療にあたっています。好きな山登りを諦める必要はありません。

リウマチ治療においては、薬剤だけではなく、関節注射、装具、手術、様々なケアを駆使して総合的に治療にあたることが重要です。特にリハビリテーションが大切です。ここで言うリハビリテーションとは電気をあてるとかマッサージをする事ではありません。

登山を前提としたリハビリテーションにおいて必要なのは、持久力や下肢体幹の筋力の強化だけではなく、バランス能力の向上と効果的なカラダの使い方の再学習です。登山においては良いバランスそして重心移動を利用し、カラダの中心からシンプルに無理なく動くことが大切です。

様々な障害物に対し、股関節をしなやかに使う事ができない方が多いようです。痛みのある局所にだけに目をむけるのではなく、カラダ全体を診ることを心がけ、古武術やクライミング、スポーツ技法等の智慧を取り入れ、「より良い人生・アクティブライフ」が送っていただけるように全力で治療にあたっています。