「野球肘Q&A」常陽リビング3月号

Q 野球をやっている14歳の孫ですが、投げる際に肘が痛いようです。MRIでは異常は無いと言われています

尾登院長A いわゆる「野球肘」はボールを投げる事で生じる肘障害の総称です。ボールを投げる際、肘には大きな負担がかかっていますので、無理があるフォームでの投げすぎは様々な障害を起こします。

最も重症化する小児「野球肘」の代表が上腕骨小頭という肘関節上腕骨側の外側部分の軟骨剥離、離断性骨軟骨炎です。初期には投球禁止で治癒しますが、進行した場合は手術が必要となったり、将来変形が起きることもあります。お孫さんの場合にはMRIでは異常無いとのことですので、現時点ではその可能性は少ないようですが、今後の発症には注意が必要です。高校生以上では内惻々副靱帯損傷が多く、重症化しやすい障害の一つです。肘痛の原因には筋肉疲労による硬結、肉離れ、軟骨が剥がれてはさまる「関節ねずみ」、滑膜ひだインピンジメントなどもあります。

野球肘に限らずスポーツでの障害の多くが、一カ所の関節だけに大きな負担がかかることが原因です。下半身、胸椎、肩甲骨、肩関節と全ての動きが上手く連動して動作が行えれば、一カ所の関節への負担を減らす事ができるため障害が起こりにくくなります。全身を使った、無理のない、流れる様なフォームは、障害を予防するだけではなく、良いパフォーマンスを生み出します。「痛みや障害」を上手くなるためのきっかけと考え、からだの使い方を見直すと良いと思います。当院のリハビリテーションでは、キネティックチェーン(運動連鎖)を重視し、障害の治療、予防からスポーツパフォーマンスの向上までを目指しています。